やきものを語るときに欠かせない言葉、それが「一焼、二土、三細工」です。この 3 つの要素が調和して初めて、やきものは完成します。作陶において、この 3 つを理解することは、作品の質を高める鍵となります。それでは、この「一焼、二土、三細工」を通して、やきものの奥深さを掘り下げてみましょう。
1. 評価の視点
やきものの評価においても、この 3 つの要素が重要です。例えば、著名な陶芸評論家がよく言うフレーズに「いい仕事してますねえ」という表現がありますが、これは主に「細工」への称賛です。また、「土味がいい」と評されるときには「土」の質が重視されており、「自然釉が美しい」という表現は「焼き」の結果を評価しています。このように、やきものの鑑賞者や評論家にとっても、「一焼、二土、三細工」という視点は欠かせません。
2. 制作のポイント
次に、やきものを制作する際のポイントです。「焼き」では、酸化焼成や還元焼成、さらには焼成温度や炉内の雰囲気などが作品に大きな影響を与えます。「土」に関しては、そのまま使うのか、複数の土を混ぜるのか、どの産地の土を選ぶかが重要な決断です。そして「細工」では、釉薬の種類や絵付け、象嵌(ぞうがん)などの装飾技法が作品の個性を決定づけます。この 3 つの要素をバランスよく取り入れることで、優れたやきものが生まれるのです。
3. 窯選びと焼成
やきもの作りにおいて、どの窯を選ぶかも重要です。「焼き」に重きを置く場合、焔を使うガス窯や薪窯が選ばれることが多いです。これにより、還元焼成などの高温での焼き締まりが強調され、青磁釉や辰砂釉のような伝統的な美しさが引き出されます。一方、「細工」にこだわる場合、電気窯が優れています。
電気窯は輻射熱を使い、安定した酸化焼成が可能です。この安定性が発色の安定に寄与し、特にオブジェや植木鉢のような、高温で焼成する必要のない作品には最適です。
さらに、やきものにおける窯の役割は非常に重要です。陶芸家に「最も大事なものは何ですか?」と聞くと、多くの人は「窯」と答えるでしょう。窯がうまく焚けなければ、作品は思い通りになりません。だからこそ、私たち窯メーカーは窯作りに対して大きな責任を感じています。良い窯を作ること、そして良い焼き方を追求することは、作陶家や私たち全てに課せられた使命なのです。
「一焼、二土、三細工」という言葉は、やきものの全体像を簡潔に表しています。やきものの評価、制作、窯選びという 3 つの側面でこのフレーズがどれほど重要かを理解することで、作陶の質は飛躍的に向上します。そして、やきものの世界に潜む「3」の法則を見つけ出すことで、私たちのやきものへの理解はさらに深まるでしょう。