私たちがつくっているのは、単なる“ガス窯”ではありません。
土と火と心が通い合い、陶芸家の思いが作品へと形になる——
その一連の“営み”を支えるための信頼できる火の道具です。
ガス窯という道具を通して、
私は“焼きものの本質”と、何十年も向き合ってきました。
「一焼、二土、三細工」と言われるように、焼成は作品の命を左右します。
だからこそ、誤魔化しのない、まっすぐな熱が必要です。
かつて私は、「都市ガスでは本格的な焼きものは焼けない」と思い込んでいました。
でも文献を調べ直し、燃焼の理論を読み解き、先入観を手放すことができたとき、
可能性の扉がもう一枚、静かに開かれたのを感じました。
窯づくりとは、過去の知恵と、未来の燃料と、今この瞬間の情熱を結び直す仕事です。
その延長線上に、バイオガス窯もあれば、産業用の都市ガス炉もある。
たとえその窯を私は一生に一度しか作らないとしても、
それを必要としている人がいる限り、全力でつくります。
仕事の幅が広がると、リスクも増える。
でも私には、一貫して大切にしている言葉があります。
「すべての火に、責任を持つ」
この言葉の通り、どんな燃料でも、どんな用途でも、
炎の向こうにある人の想いを裏切らない窯を、私はこれからも作り続けます。