陶芸用のガスバーナーは、学校の理科室で使うガスバーナー(ブンゼンバーナー)と同じ「予混合燃焼」という方式を採用しています。
これは、火をつける前にあらかじめガスと空気を混ぜ合わせておく仕組みであり、燃焼に必要な空気は「一次空気」と「二次空気」の2段階に分かれて供給されます。

まず、バーナーの根元にある「ノズル」からガスが勢いよく噴出します。
流れる気体のスピードが速くなると周囲の気圧が下がるため、ノズルの先端付近は周りよりも気圧が低い状態(負圧)になります。
すると、その圧力の差によって外の空気が「一次空気調整弁」のすき間から自然と吸い込まれていきます。
吸い込まれた空気(一次空気)はガスとともに「レギュレーター(混合器)」の内部へと送り込まれ、管の中を進みながら均一に混ざり合って「混合気(MIXED GAS)」をつくります。
この混合気は先端の「バーナーヘッド(火口)」へと導かれ、点火されることで、炎の内側にあたる「炎心」や「内炎」をつくり出します。焼成を始める前に一次空気調整弁の開き具合を決めておくことで、酸素を十分に混ぜた「酸化炎」にするか、酸素を抑えた「還元炎」にするかをコントロールすることができます。
一方、バーナーヘッドから立ち上った炎の外側(外炎)には、火がついた後から別の空気が供給されます。
これが「二次空気」です。
単体で燃えているバーナーでは、炎のまわりで酸素が消費されると、濃度の差によって周囲の空気が自然と吸い寄せられるように混ざり合う「拡散作用」(※)によって二次空気を取り込んでいます。
しかし、バーナーを窯に取り付けた状態では、煙突へ向かって抜けていく気流(ドラフト)やダンパー(仕切り板)の開け閉めを利用して、流れ込む二次空気の量をコントロールできるようになります。
二次空気は、外炎をしっかり燃焼させる役割だけでなく、窯の中を巡る熱の流れや排気量、そして窯内部の圧力(炉圧)を調整して熱を効率よく蓄えるための極めて重要な働きを担っています。
※:拡散作用について
拡散作用とは、水の中にインクを一滴落とすと、かき混ぜなくても自然と全体へ広がっていくように、物質の分子が「濃い場所」から「薄い場所」へと自然に広がって均一になろうとする現象を指します。
火口で燃えている炎の表面では、燃焼によって酸素がどんどん消費されるため、炎のごく近くだけ酸素の濃度が低い状態が生まれます。すると、その濃度の差を埋めようとして、周囲の空気中に含まれる酸素が自然と炎の表面へ向かって引き寄せられ、外炎と混ざり合っていきます。この分子の自然な広がりと移動の働きを拡散作用と呼びます。
(参考文献:燃焼工学・小林清志著ほか 燃焼学・平野敏右著 セラミック窯炉・長坂克己著ほか 燃焼の基礎と応用・架谷昌信、木村淳一著 ガス燃焼の理論と実際・仲町一郎、庄司不二雄共著)

